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知っておきたい犬の病気

ワクチンを接種していると防げる病気もありますが、犬の病気を知識として知っておくことで、健康管理を維持してあげられますよね。
そこでいくつか紹介したいと思います。

感染症

ジステンパー
感染犬のくしゃみ飛沫を吸い込んだり、感染犬に直接・間接的に触れることで鼻や口から感染します。感染当初は発熱や、食欲不振程度ですが、抵抗力の弱い犬は二次感染を起こし、症状が悪化して元気がなくなります。また、消化器が侵されると嘔吐や下痢、呼吸器が侵されるとくしゃみ、鼻水などの症状が現れます。さらに進行すると脳が侵され、やたらに興奮したり、てんかんのような発作を起こします。
治療法は、抗生物質などの薬で二次感染を防ぎます。
ケンネルコフ
イヌ伝染性喉頭気管炎とも呼ばれ、咳が特徴の病気です。パラインフルエンザウイルス、アデノウイルスや微生物、細菌に感染した犬の咳やくしゃみの飛沫から感染します。短い乾いた咳が特徴です。興奮したり運動したり、気温の変化があったときなどにひどくなります。普通は微熱程度で比較的元気ですが、抵抗力が弱いと重症化し、高熱や膿のような鼻水、食欲不振などの症状が現れます。
治療法は、抗生物質の噴霧薬で治療します。
パルボウイルス感染症
感染犬の便や嘔吐物、あるいはそれらに汚染されたものに触れることで感染します。このウイルスが腸に棲みつくと激しい腸炎を起こし、激しい嘔吐と下痢をおこします。重症では便に血液も混じり、ひどい悪臭がします。脱水症状を起こし、ショック状態になることもあります。生後3~9週の子犬の場合、心筋にウイルスが棲みつくことが多くなります。心筋型は突然に症状が現れます。悲鳴をあげたり、吐いたりして多くの場合30分以内に呼吸困難で死亡します。
治療法は、ほかの犬に感染させないよう隔離入院し、輸液や酸素吸入を行い、体力を回復させます。
コロナウイルス性腸炎
感染した犬の便や嘔吐物などから感染し、小腸で増殖して腸炎を起こします。パルボウイルスと一緒に感染することが多く、この場合は重症化しやすいため、死亡する危険性が高くなります。食欲不振、嘔吐、下痢の症状が出ます。
治療法は、効果的な薬はないため、安静と保温を心がけて体力の回復を待ちます。脱水症状を起こしている場合は、大量の輸液をします。

寄生虫症

フィラリア症
蚊に刺され、ミクロフィラリアに感染します.感染の媒介をするのは、トウゴウヤブカなど、日本にごくふつうに棲息する蚊です。典型的な症状は、せきです。心臓にフィラリアが充満するため、血液の流れが悪くなり気管支静脈に血液がたまります。すると血液中の水分が気管支にしみ出てくるため、しきりにせきをして排除しようとします。初期には、運動をするとせきをする程度ですが、だんだんせきがひどくなっていきます。また、運動をすると息切れをするようになり、散歩などをいやがるようになります。放置しておくと、腎臓や肝臓も障害され、生命の危険も出てきます。いっぽう、フィラリアが心臓の右心房と後大静脈に偏って寄生した場合には、急激に体調が悪化することがあります(急性フィラリア症)。充満したフィラリアが血液の流れを止めてしまうため、呼吸困難や黄疸などの症状が突然現れてきます。この場合、早急に処置しないと命にかかわります。
治療法は、薬を用いて、フィラリアを殺します。死んだフィラリアが肺動脈につまってしまう危険があるため、安静を保つ必要があります。急性フィラリア症では、すぐに手術をして、フィラリアを摘出します。フィラリア症でなにより大切なのは、予防薬を使って感染を防ぐことです。紋の出る期間中薬を使用すれば、ほぼ完全に感染を予防できます。ただ感染してから予防薬を用いるとショックを起こすことがあるため、使用前に感染の有無を確認しておく必要があります。
回虫症
回虫には、イヌ回虫とイヌ小回虫の二種類があります。どちらも感染経路は勣更です。散歩中に、感染した犬の糞に口をつけ、そこに含まれた卵が体内に入っていきます。食欲不振やおう吐、下痢などの胃腸症状や発育不全の症状が現れます。土など異常なものを口にしたり、多数の回虫で腸がつまることもあります。
治療法は、回虫がいなくなるまで、駆虫薬を使って駆除をくり返します。
鞭虫症(べんちゅうしょう)
鞭虫はどこにでも見られる寄生虫で、ほとんどの犬に寄生しています。糞便を介して犬の体内に入った鞭虫の卵は、小腸でふ化し、腸の粘膜内で成長して、最終的に盲腸に寄生します。鞭虫に寄生されても、寄生数が少なく、健康な体であればほとんど問題はありません。しかし寄生数が多いと、慢性的に下痢を起こすようになります。排便のとき、ドロッとます。排便のとき、ドロッとした血液混じりの粘液が出ます。食欲も低下します。
治療法は、駆虫薬を飲ませるか、注射で駆除します。通常は一回薬を使用すれば駆除できますが、薬によっては数回使用します。
鉤虫症(こうちゅうしょう)
感染犬の使中に含まれた卵は、土中でふ化して他の犬が来るのを待ちます。多くは犬が幼虫を口にすることで感染しますが、そのほか皮膚から犬の体内に入り込んだり、感染犬の胎盤や母乳を介して感染することもあります。子犬の場合は、食欲低下、下痢、血便、貧血、やせる、腹痛のため背中を丸めるなどの症状が現れます。強度の貧血で死亡することもあります。成犬なら多少感染しても問題ありませんが、寄生数が多いと、慢性的な貧血、くり返す下痢、毛づやが悪くなるなどの症状が現れてきます。
治療法は、駆虫薬を用います。不健康な状態が続くようなら、整腸薬の投楽や栄良補給をします。
条虫症
幼虫を持つノミを犬が食べて感染します。肛門の周囲についた片節の刺激に違和感を感じ、犬はしきりに肛門周辺をなめたり、お尻を地面にこすりつけて前進したりします。寄生数が多いときには、下痢や食欲低下、毛づやが悪くなることもあります。
治療法は、駆虫薬を飲ませるか、注射することで治療できます。ノミ駆除薬やノミとり首輪、薬用シャンプーで、ノミを完全に退治しておきましょう。

皮膚の病気

アレルギー性皮膚炎
免疫機能が過剰に働いて起こるのがアレルギーです。その原因となる物質をアレルゲンといいます。 吸引性(アトピー)アレルギーはほこり、カビ、花粉、動物のフン、ダニ類などを吸引して起こります。症状は全身にでますが、特に足先、脇の下、おなかなどに起きやすく、かゆみも強く現れます。 接触性アレルギーはアレルゲンに触れることで起こる皮膚炎です。首輪が原因なら首のまわりといったように、アレルゲンとなる物質に触れた場所に起こるので、全身どこにでも症状が現れます。 食物性アレルギーは食べ物が原因です。耳、頭、口のまわりなど、多くは頭部を中心として症状が現れます。
治療法は、アレルギー性の皮膚炎はアレルゲンさえ取り除くことができれば症状はなくなります。可能性のあるアレルゲンを与えて反応を見るなどで原因が限定できれば、できるだけそれを生活の中から取り除きます。しかし、アレルゲンを限定できないことも多く、仮に限定できたとしてもそれらを完全に除去するのは困難なのでアレルギーを抑える薬や、かゆみ・炎症をしずめる薬を用います。
膿皮症
細菌を原因とする皮膚炎です。原因となる細菌は特別なものではなく、私たちの周囲に常に存在しているものです。それらの細菌が皮膚が傷ついたことをきっかけに、皮膚内に入り込んで炎症を起こします。かゆみが非常に強く、犬はかんだりひっかいたりして、やがて毛が抜けてしまいます。細菌が皮膚の奥深くまで侵入すると、患部が膿んだり、発熱したりします。顔や耳、目の周辺、頭部、つま先などから円形の脱毛が始まり、全身に広がっていきます。
治療法は、皮膚の表面だけに炎症が起きている場合、薬用シャンプーで治療できます。皮膚の奥まで侵されているようなら抗生物質の塗り薬や飲み薬で治療します。
寄生虫による皮膚炎
ノミ、ダニが寄生して炎症を起こします。皮膚の炎症、脱毛、強いかゆみなどの症状が現れます。大量のノミが寄生した場合は吸血されて貧血を起こすこともあります。脱毛は腰の背中側やおなか、足のつけ根などによく起きます。ニキビダニの場合、初期にはかゆみはありませんが、進行すると脱毛し、ただれてくるとかゆみが強まります。かいせんは耳のふちや肘、かかとなどに発症しやすく犬はかゆがります。イヌツメダニが寄生すると、大量のフケが出るのが特徴です。
治療法は、ノミによる皮膚炎は駆除薬を用いてノミを退治すれば、やがて治ります。 かいせんは、全身の毛を刈り、殺ダニ剤で薬浴させます。完治するまで多少時間がかかります。 ニキビダニ症とイヌツメダニ症も殺ダニ剤で薬浴させます。ニキビダニの場合は、抗生物質も内服します。 ※イヌヒゼンダニとイヌツメダニは人間にもうつるので注意が必要です。

目の病気

角膜炎・結膜炎
異物や怪我、刺激、細菌・ウイルス感染で炎症を起こします。目が赤くなり腫れてきます。痛みやかゆみのために、しきりに目をこすったりひっかいたりします。また、涙をたくさん流し、目の周囲がぬれ、汚れます。角膜炎は進行すると角膜が白く濁り、さらに進むと新しい血管が生じてきて目が赤く見えてきます。結膜炎の場合は、まぶたを裏返すと赤く充血したり、腫れたりします。進行するとともにひどくなり、まぶたも腫れてきます。
治療法は、異物などによる物理的刺激が原因なら、それを取り除き、炎症を抑える薬を点眼します。感染症の場合は、抗生物質の点眼薬や、軟膏を用います。化学物質が原因なら目を洗浄するなど、原因に応じた治療を行います。
白内障
本来は透明な水晶体がたんぱく質の変化により、白く濁ってくる病気です。原因には糖尿病、怪我、ホルモンの異常、中毒などがありますが大半は老化によるものです。水晶体が濁ると、光が通りにくくなるため、濁りの進行に伴って視力障害が現れます。
治療法は、薬を用いて進行しないよう抑えます。濁りがひどい場合は、手術で水晶体を摘出します。
緑内障
眼圧(眼球内部の圧力)が高くなり、視神経を圧迫して視力に障害があらわれます。原因は角膜と水晶体の間にある、眼房という部位を満たす房水が増えてしまうことです。症状として眼の色が緑色や赤色に見えてくることがあります。進行すると、眼球が大きくなり、視神経や網膜が圧迫され、視野が狭くなったり視力障害が起こります。放置しておくと失明します。
治療法は、利尿薬や、瞳孔を閉じさせる薬を用いて房水の排水を促進させます。手術で房水を排出させる側路をつくることもあります。

耳の病気

外耳炎 中耳炎 内耳炎
耳垢がたまり炎症を起こします。垂れ耳などで耳の換気がが悪いと、耳垢が湿ってたまりやすくなります。かゆみがあるので、しきりに頭をふったり、耳を何かにこすりつけたり、耳の後ろ側をひっかいたりします。進行すると痛みも出るため、さわられるのをいやがります。悪臭のする耳だれが出て、耳の周りの毛が汚れます。外耳炎を放置しておくと、慢性的に炎症が繰り返され、中耳まで炎症が広がる危険性があります。中耳炎になると、中耳の鼓室という部位に膿がたまり、耳が聞こえにくくなります。さらに進行すると内耳を侵されることもあります。内耳の半規管が障害されると、平衡感覚がなくなったり難聴になったりします。
治療法は、細菌感染がなければ、耳垢をきれいに取り除けば治ります。細菌感染している場合は、抗生物質の軟膏を塗ります。
耳かいせん
ミミヒゼンダニが寄生して起こります。このダニに感染した犬と接触するとうつります。ダニが寄生すると、悪臭のある黒褐色の耳垢がたまります。犬はかゆいために、ひんぱんに頭をふったり、耳をひっかいたりします。
治療法は、耳垢をきれいに取り除き、殺虫剤を用いて駆除します。ダニの卵は駆除できないのでふ化する頃(三週間後)再度殺虫剤で駆除します。
耳血腫
耳を何かにぶつけたりして耳が傷つき、血液や水分が耳の中にたまりふくれあがります。また、免疫の異常が原因で起こることもあります。耳を触られるのを嫌がり、やや熱をもっています。
治療法は、耳に溜まった血液などを注射器で吸い取るか、簡単な手術で治療します。ただ、注射器で吸い取る治療法は一時的な処置で、しばらくするとまた溜まってくるので手術した方がよいでしょう。

鼻・口の病気

鼻炎
鼻の粘膜に炎症が起こる原因としてまず、細菌やウイルスの感染があげられます。いわゆる鼻かぜです。ジステンバーウイルスの感染で、鼻炎が起こることもあります。カビやほこりなどによるアレルギーが原因の場合はアレルギー性鼻炎といいます。そのほか、鼻内部の腫瘍、鼻の骨折、犬歯の根元の化膿など、原因はさまざまです。初期症状は水のような薄い鼻水とくしゃみです。ひどくなると、鼻水が粘りのある濃いものになります。
治療法は、かぜなど軽い症状なら抗生物質や抗炎症薬を用いれば治ります。アレルギーの場合は生活環境から原因物資を取り除くことが必要です。原因となる病気があるときはその治療が先決です。
鼻腔狭窄(びくうきょうさく)
先天的な異常です。鼻が鳴ったり、鼻水が出たりします。シーズーやパグ、ペキニーズ、フレンチブルドッグなどの顔の短い犬によく見られます。
治療法は、日常生活に影響がある場合、鼻腔を広げる手術をおこないます。
口内炎・口唇炎
口内炎は口の粘膜の粘膜の炎症を総称しているので原因はさまざまです。口の中に傷ができ、炎症が起こります。そのほか、糖尿病やビタミン不足、腎臓病などが原因になることもあるので注意が必要です。患部に発疹ができたり腫れたりただれたりします。唇に起こる口唇炎は犬だけにみられる病気です。唇の怪我、刺激物との接触、アレルギーなどで炎症を起こしている箇所が、細菌に二次感染することで起きます。痛みやかゆみがあるため、しきりに口の周りをひっかきます。そのため毛が抜けたり、いやなにおいがすることがあります。
治療法は、口内炎は細菌感染している場合は抗生物質で炎症を抑える、歯周病が原因ならその治療を行います。口唇炎は抗菌性のせっけんで患部をよく洗うことが大切です。刺激やアレルギーが原因の場合は、原因として疑われる物質をできるだけ犬から遠ざけます。
歯周病
歯石がたまり、歯ぐきに炎症が起こります。歯肉と呼ばれる歯ぐきに、炎症が起こる病気が歯肉炎。この炎症が、歯根膜やセメント質などの歯周組織に広がると、歯周炎とよばれます。歯周病は、歯肉炎と歯周炎を合わせた病名です。歯肉炎や歯周炎が進むにつれて、よだれが多くなったり、口臭が現れてきます。歯が黄色や茶色に変色したり、歯ぐきが腫れる、出血するなどの症状で気付くこともあります。悪化すると、歯の根元の膿が目の下から出てくることもあります。
治療法は、口の中をよく消毒し、歯石を取り除きます。歯肉炎や歯周炎の初期なら、これだけで炎症は治まります。歯がぐらついてるときは、歯を固定する方法もあります。定期的な歯石除去で進行を防ぎましょう。

骨・関節の病気

椎間板ヘルニア
背骨は、椎骨という骨がたくさん連なった構造をしています。椎骨と椎骨の間には、椎間板という組織がはさまっています。椎間板は、丈夫な袋の中に髄核というやわらかい組織が入ったもので、外部から加わった力をやわらげたり、背骨をなめらかに動かす役割を果たしています。この椎間板にひじょうに強い力が加わったり、老化などで骨が変性すると、椎間板がつぶれて、髄核が外にはみ出してしまうことがあります。この状態をヘルニアといいます。典型的な症状は、まひと痛みです。痛みのために犬は、体をさわられるのをいやがります。どのようなまひが起こるかは、髄核がどの神経を圧迫するかによって異なってきます。前足だけまひしたり、後ろ足だけ、あるいは体の片側だけまひすることもあります。ヘルニアが起こりやすいのは、首のつけ根や腰など、ふだんよく動かす場所です。腰にヘルニアが起きた場合は、ふらついたり足をひきずるなど、歩き方に異常が見られたり、後半身全体がまひしたりします。尿や便のコントロールがきかなくなり、そそうをする場合もあります。
治療法は、脊髄への圧迫の度合いが軽ければ、副腎皮質ホルモン薬や抗炎症薬などの薬を用いることで、症状をある程度軽くすることはできます。脊髄が強く圧迫されている場合は、圧迫している髄核を取り除く手術が必要になります。髄核に酵素剤を注入して、溶かす方法もあります。手術をおこなった場合、ふつうに運動できるようになるまで、数カ月はかかります。
股関節形成不全
股関節は、骨盤の臼状のくぼみに、大腿骨の頭の丸い部分がうまくはまりこんだ構造をしています。ところが、骨盤のくぼみが浅かったり、大腿骨の丸みがあまりないことがあります。すると、関節が完全にはずれたり(脱臼)、はずれそうな状態(亜脱臼)になります。これを股関節形成不全といいます。原因の七割は、先天的に骨の発育に異常があること、三割が環境的な要因といわれています。環境要因としては、成長時に標準以上に体重が増加することや、骨の成長に筋肉の増加が追いつかないことなどがあげられます。生後5~10ヵ月までは、めだった症状は現れませんが、その後の成長に伴い、だんだん異常が現れてきます。初期には、腰をふるように歩いたり、内股で不安定に歩いたりします。後ろ足をそろえて走る「うさぎ跳び」をすることもあります。また、散歩などの運動をいやがります。病状が進行すると、これらの症状がめだつほか、運動後に足をひきずる、座った姿勢を好む、歩幅が狭くなるといった症状も現れてきます。痛みを感じているときは、うまく立ち上がれなかったり、立ったときにキャンと鳴いたり、股関節をさわられるのをいやがったりします。
治療法は、症状が軽ければ、運動制限したり体重を管理するだけで、症状がおさまることもあります。痛みには痛み止めや炎症を抑える薬を用います。痛みが強い、歩行障害が続く場合には、手術が必要になります。ただこれらの方法は、症状を取り除くためにおこなわれるので、治った後も再発する可能性はあります。そこで、再発予防や悪化防止のために、治療後のケアが重要になります。大切なのは、ジャンプや回転運動など、関節に負担のかかる運動を避けることと、関節に負担をかける肥満を予防することです。
膝の前十字靱帯断裂
前十字靱帯とは、大腿骨と脛骨をつなぐ、十文字に交差した二本の靫帯のうち、外側にあるものです。年をとって膝関節が弱くなったり、肥満のために膝に大きな負担がかかったりすると、前十字靱帯が切れてしまうことがあります。靱帯が切れると膝に体重がかけられないため、切れた側の後ろ足を上げ、三本足でぴょこぴょこと歩きます。2~3日すると関節が安定するため、外見上はよくなったように見えます。しかし放置しておくと歩行障害をくりかえし、関節が変形します。
治療法は、たいていは手術をすることになります。他の部位の靱帯などを移植して前十字靱帯を修復したり、関節周囲の組織を強化して関節を安定させるなど、手術法はいろいろあります。

呼吸器の病気

気管虚脱
気管は、鼻や目などの上部の気道と肺をつなぐ、空気の通り道です。円筒状の気管の外側には、U宇型の軟骨が並び、首を曲げても、またのどに多少の圧力がかかっても、気管がつぶれないよう支えています。ところがなんらかの原因で軟骨がゆがんだりして、気管がつぶれてしまうことがあります。この状態を気管虚脱といいます。犬特有の病気で原因はよくわかっていませんが、遺伝や老化、肥満などが関係していると考えられます。慢性的にせきが出るようになり、だんだん激しい運動を嫌うようになります。とくに運動後や興奮したあとに、せきや呼吸困難の発作が起きやすくなります。発作中、犬は落ち着きがなくなって動きまわったり、楽になろうとして座り込んだりします。症状が進むと発作の時間が長くなり、ひじょうに苦しそうに呼吸するようになります。ひどい場合は酸素不足で舌や歯ぐきが紫色になることもあります。
治療法は、重症でなければ、気管支拡張剤、鎮静剤、抗炎症剤、強心剤などの薬を用いて、せきや呼吸困難の症状をやわらげます。症状が重い場合、つぶれた気管をプラスチックのリングなどで補強する手術をおこなうこともあります。
肺水種
肺水腫は、肺の気管支や肺胞などに水がたまってむくんだ状態です。気管支での空気の通りや肺胞でのガス交換がスムーズにいかないため、呼吸が苦しくなります。気管支炎や心臓疾患、刺激性のガスや薬品を吸い込むことが原因です。薬品による中毒で起こることもあります。軽症のときは、運動したり興奮するとせきが出たり、少し呼吸が苦しくなる程度ですが、垂い場合には呼吸困難やせきがひどくなります。呼吸困難がひどくなると、よだれを流し、口を開けたまま呼吸します。
治療法は、利尿薬を使って、肺にたまった水を除去します。ひどい呼吸困難には、酸素吸入をおこないます。
肺炎
肺に重い炎症が起きます。ウイルスや細菌、寄生虫などの感染症が進行して、肺にまで炎症が進みます。また、刺激性のガスや薬品を吸い込むことで起こることもあります。せきが出ることが多く、吐いたりします。呼吸が苦しくなり、ゼーゼーという呼吸音がします。発熱もあるため運動をいやがったり、食欲がなくなったりします。症状が悪化すると、体を横にすることができなくなります。肺の中に余分な空気がたまり、その空気が皮膚の下に押し出されて、ぶくぶくとした皮下気腫が現れることもあります。
治療法は、抗生物質を使用して、肺の炎症をしずめます。薬をガスや蒸気にして吸入させる方法もあります。呼吸困難のときは、酸素吸入をおこないます。